細胞観察例
緑蛍光と位相差の複合画像。
いくつかのニューロンでMAP-2発現を示すマウス初代皮質のニューロン培養。
※Stanford UnivのC Stary labより提供。
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の精製 と血小板除去用のマイクロ流体デバイス
Campos-Gonzalez他, 2018
血小板のマイクロバイオリアクター
システムにおけるフローパターン
Martinez他, 2017
マウスの内網状層と外網状層中の網膜組織のミクログリア
2種類のmRNAを示す組織バイオプシー
マウスの小脳皮質の中のプルンキンエ細胞
希突起神経膠細胞
色付けされたマウスの腎臓の糸球体尿細管(緑)とアクチンフィラメント(赤)
"Protein phosphatase 2A regulatory subunit B55α functions in mouse oocyte maturation and early embryonic development" (Liang et al, 2017)
Failure of Cytokinesis & Extrusion of Polar Bodies: 5分~12時間間隔のタイムラプス "Anillin Controls Cleavage Furrow Formation in the Course of Asymmetric Division During Mouse Oocyte Maturation" (Lee et al, 2016)
Germinal Vesicle Breakdown: 5分~6時間間隔のタイムラプス "Depletion of the LINC complex disrupts cytoskeleton dynamics and meiotic resumption in mouse oocytes" (Luo et al, 2016)
細胞観察とは
細胞観察とは、顕微鏡を用いて生物の細胞を観察することを指します。細胞観察は、生物学や医学などの分野で広く用いられており、生物の細胞構造や機能、細胞の病気や異常などを研究する上で欠かせない手段となっています。
細胞観察は、通常、生物組織や細胞を染色してから顕微鏡で観察を行います。細胞を染色することによって、細胞内の構造や成分をよりはっきりと観察することができます。また、細胞内に特定のタンパク質や遺伝子を導入し、その挙動を観察することもできます。
細胞観察は、細胞を生きた状態で観察することもできます。この場合、ライブセルイメージングと呼ばれる手法が用いられます。ライブセルイメージングでは、生きた細胞を顕微鏡で観察し、細胞内の生化学的な反応や分子の動きなどをリアルタイムで追跡することができます。
細胞観察の目的
細胞観察の目的は、生物学や医学などの分野で生物の細胞について理解を深めることです。細胞は生物の最小構成単位であり、全ての生命現象は細胞内で起こっています。細胞観察は生物学や医学において非常に重要な役割を持っており、細胞観察で得られた知見は、細胞生物学や発生生物学、免疫学、病理学、医学などの分野で、疾患の発生機構の解明や治療法の開発に役立てられています。
細胞観察によって得られる情報は、以下のようなものがあります。
細胞の構造や機能に関する知識
細胞の形態や内部構造、細胞膜や細胞質などの構成要素やその役割の理解。
細胞内の分子や生物物質の動態に関する知識
細胞内の分子や生物物質の移動や分布、代謝や反応などの観察。
細胞の発生や成長、増殖、分化に関する知識
細胞の分裂や増殖、分化や器官形成など、細胞が成長・発達する過程の観察。
細胞の病気や異常に関する知識
細胞内で起こる病気や異常について、細胞の形態や機能、分子レベルで観察。
細胞観察に用いる顕微鏡の種類
細胞観察に用いられる主な顕微鏡観察方法には、以下のようなものがあります。
光学顕微鏡
細胞を可視光線の範囲で観察する顕微鏡で、細胞内の構造や形態を観察することができます。主に生物学の分野で広く用いられています。
蛍光顕微鏡
蛍光を利用して細胞内の分子や生物物質を観察することができる顕微鏡です。特定の蛍光色素を細胞に取り込ませたり、蛍光タンパク質を発現させたりして、細胞内の特定の構造や分子を可視化することができます。
電子顕微鏡
電子線を用いて細胞を観察する顕微鏡で、光学顕微鏡よりも高い解像度で細胞内の構造を観察することができます。主に細胞内の超微小構造や細胞内の分子レベルの構造解析に用いられています。
走査型電子顕微鏡
試料表面を電子線で走査し、表面形状を立体的に観察することができる顕微鏡です。細胞の表面形態や微小な構造を観察することができます。
これらの顕微鏡観察方法を組み合わせることで、より詳細な細胞の観察や分析が可能になります。
細胞観察 - ライブセルイメージング - Lumascope
オレンジサイエンスでは、インキュベーター内でも使用できる小型ライブセルイメージングシステム「Lumascope」蛍光顕微鏡を取り扱っています。
Lumascopeは蛍光観察機能を備えた生細胞イメージングシステムで、コンパクトな設計のため細胞培養インキュベーター、組織培養フード、環境ワークステーションなど、狭いスペースでも生細胞の観察が可能で、スライド、マイクロプレート、フラスコ、ディッシュの細胞を観察できます。
独自のソフトウェアによって、数秒、数分、数時間、数日間の間隔でのタイムラプスも観察でき、ご使用のPCとのUSB接続による電源供給とコントロール、汎用レンズとの互換性により、お客様の使用する対物レンズでも使用可能で迅速にセットアップでき、優れた使いやすさを実現しています。
カスタム最適化フィルターセットにより、BFP、DAPI、FITC、Fluo-4、GFP、mCherryを含む、青色・緑色・赤色蛍光体が検出可能でオプションの位相コントラストアクセサリにより、位相差観察、非染色サンプルの観察を強化できます。
ライブセルイメージング - Lumascope
コンパクトデザインによりインキュベーターやワークステーション内で使用可能
Etaluma Microscope
コンパクト設計の
蛍光ライブセルイメージング顕微鏡
エタルマのLumascope(ルマスコープ)は、優れた感度、解像度、ゼロピクセルシフトを備えた、半導体光学の新しいコンセプトで設計された、倒立型小型蛍光顕微鏡です。
そのコンセプトのデザインにより、インキュベーター、ドラフトチャンバーなどの限られたスペースの中で使用でき、幅広いラボウエアでのライブセルイメージングを可能にします。
A Dramatic New Concept
ライブセルイメージングをインキュベーター内で
Lumascopesは、従来の高価な顕微鏡に匹敵する高解像度画像を備える、用途の広い、コンパクトな倒立型蛍光顕微鏡で、日々顕微鏡を使用する科学者によって考案、設計されました。従来の倒立顕微鏡は非常に高価で、複雑で、不要な機能も多く搭載していましたが、 Lumascopeは、高画質、汎用性、小型化、使いやすさ、低価格を実現しました。
LumascopesはLED光源、Semrockフィルター、最先端の光学技術、CMOSセンサーにより、回折限界に近い解像度画像(理論上)の提供を可能にします。USBでPCと接続することにより、画像、タイムラプス、動画の取り込みが非常に簡単です。そして、非常にコンパクトなので、インキュベーター、安全キャビネット、ワークステーションなどの限られたスペースでの作業が可能で、モデルにより、外部からのリモート操作、イメージモニタリングが可能です。
Lumascopesは、手動XYステージ、または自動ステージを備えており、汎用のマイクロプレート、フラスコ、ディッシュ、カスタムラボウェアに対応しています。 USBで画像をコンピュータに直接送信するLumaviewソフトウェアが付属しているため、オンボードでの画像保存、処理が不要になり、コンパクト化を実現しました。 Lumaviewは、数秒、数分、数時間、または数日にわたるタイムラプス観察を可能にし、ライブビデオは毎秒最大30フレームで録画が可能です。
BPAE cells
BPAE cells stained to show nuclei (blue), alpha-tubulin (green), and F-actin (red) on an LS 620; LifeTech FluoCells slide #2; 40x Olympus objective.
多彩なアプリケーション・汎用性
-
ライブセルイメージング
-
細胞増殖、コンフルエンス
-
細胞移動、創傷治癒
-
トランフェクション効率の決定
-
タンパク質発現のトラッキング、定量化
-
細胞分化観察
-
含有分析
-
生体内調査
-
AC電源不要顕微鏡撮影
ベネフィット
LED光源とCMOSセンサーを高度な光学技術で顕微鏡に応用し、理論上最大値付近の解像度を得ています。お使いのラップトップにUSBで接続して使用し、動画やタイムラプスも取り込めます。システムを極力単純化したために、これまでの顕微鏡では考えられない丈夫な構造です。また、光源が弱くても十分な光度が得られているため、光が与える細胞への損傷や蛍光減衰が極力抑えられます。
-
レンズ着脱式(1.25~100倍対応!)
-
オリンパスレンズ使用可能(高画質)
-
培養インキュベーター内に収まる設計
-
回折限界付近の高解像度
-
3色(赤、青、緑)蛍光
-
位相差観察のオプション有
-
自動ステージモデル有
ライブセルイメージングのデモについて
Lumascopeは無料にてデモが可能です。実際の実験環境や使用環境でお試しいただき、Lumascopeの機能や性能、使いやすさ、製品の大きさ等を事前にご確認いただけます。デモ可能な機種や貸出期間等につきましてはお問い合わせください。
ライブセルイメージング関連製品
iPS心筋細胞 収縮性・伸張性測定システム
サイトモーション(CytoMotion)
CytoMotionはIonOptix MyoCyteシステム(単離心筋細胞収縮・Ca測定システム)や MultiCell システム(全自動システム)へアドオンして使用することができる収縮性・伸張性測定ソフトウェアです。
CyoMotion Liteパッケージでは独立したライブセルイメージングシステムとしての使用もでき、重要なパラメータのリアルタイムでの分析が可能です。
iPS心筋細胞の収縮性・伸張性測定
ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)およびヒト胚性幹細胞(hESC)由来の心筋細胞は、その表現型が不定形であり、アダルト心筋細胞と比較してコントラストが低いため、収縮性の動態を把握することは特に困難ですが、IonOptixが新しく開発した CytoMotionソフトウェアにより、以下の重要なパラメータのリアルタイムでの分析を可能にします。
-
最大収縮速度
-
最大収縮速度までの時間
-
収縮時間(パーセントピークまでの時間)
-
最大弛緩速度
-
最大弛緩速度までの時間
-
弛緩/伸張時間(ベースラインの割合までの時間)
-
拍動頻度とその変化(CytoSolverによる解析が必要です)
CytoMotionは下記のパッケージ(CyoMotion Lite)で独立したシステムとして使用でき、IonOptix MyoCyteシステム(単離心筋細胞収縮・Ca測定システム) や MultiCell システム(全自動システム)へアドオンして使用することもできます。その場合は、CytoMotionソフトウエアだけの追加で、ご使用頂けます。
-
IonWizard/基本ソフトウエア
-
CytoMotion/サイトモーション・ソフトウエア
-
CytoCam/サイトモーション用カメラ
-
CytoSolver/バッチ解析用ソフト(1年間ライセンス契約)※オプション
iPS心筋細胞の収縮性・伸張性測定システムの特徴
-
高速データ収集(1000Hz、一般的なサンプリングレートは200-250Hz)
-
リアルタイムのデータ収集
-
高い空間分解能(2.4メガピクセルカメラセンサー)
-
統合されたターンキーシステム
-
収縮性の直接測定
-
ラベル不要の運動検出
-
MultiCellでの自動リファレンスフレーム取得
-
シンプルでユーザーフレンドリーなソフトウェア
iPS心筋細胞の収縮性・伸張性測定システムのメリット
-
精度:高い時間・空間分解能とシンプルで堅牢なアルゴリズムにより、ルシトロピーを含む動力学的変化と不整脈原性の特性をよりよく把握することができます。
-
簡便性:必要なコンポーネントがすべて揃ったシステムでコントラスト検出が簡単に使用できるため、すべての実験からより多くの成果を得ることができます。
-
信頼性:ラベルフリー測定は人工的な要因の少なさを意味し、すべてのシステムは知識豊富な科学者チームによってサポートされています。
論文一覧
※ MyoCyteシステムによる
-
Leptin Attenuates Cardiac Contraction in Rat Ventricular Myocytes
Marvie W. Nickola, Loren E. Wold, Peter B. Colligan, Guei-Jane Wang, Willis K. Samson, and Jun Ren/ 1 Oct 2000 https://doi.org/10.1161/01.HYP.36.4.501Hypertension. 2000;36:501–505 -
High‐fat Diet‐induced Obesity Leads to Resistance to Leptin‐induced Cardiomyocyte Contractile Response
Jun Ren, Bang-Hao Zhu, David P. Relling, Lucy B. Esberg, Asli F. Ceylan-Isik/ 06 September 2012 https://doi.org/10.1038/oby.2008.381 -
Effects of clenbuterol on contractility and Ca2+ homeostasis of isolated rat ventricular myocytes.
Siedlecka U, Arora M, Kolettis T, Soppa GK, Lee J, Stagg MA, Harding SE, Yacoub MH, Terracciano CM/ 01 NOV 2008 https://doi.org/10.1152/ajpheart.00258.2008 -
OVEREXPRESSION OF HEAT SHOCK PROTEIN 27 PROTECTS AGAINST ISCHAEMIA/REPERFUSION-INDUCED CARDIAC DYSFUNCTION VIA STABILIZATION OF TROPONIN I AND T.
Lu XY, Chen L, Cai XL, Yang HT/ 1 August 2008, Pages 500–508, https://doi.org/10.1093/cvr/cvn091 -
Mitochondrial matrix metalloproteinase activation decreases myocyte contractility in hyperhomocysteinemia
Moshal KS, Tipparaju SM, Vacek TP, Kumar M, Singh M, Frank IE, Patibandla PK, Tyagi N, Rai J, Metreveli N, Rodriguez WE, Tseng MT, Tyagi SC/ 01 AUG 2008https://doi.org/10.1152/ajpheart.00099.2008 -
G Protein–Coupled Receptor Kinase 2 Ablation in Cardiac Myocytes Before or After Myocardial Infarction Prevents Heart Failure
Raake PW, Vinge LE, Gao E, Boucher M, Rengo G, Chen X, DeGeorge BR Jr, Matkovich S, Houser SR, Most P, Eckhart AD, Dorn GW 2nd, Koch WJ/ 17 Jul 2008 https://doi.org/10.1161/CIRCRESAHA.107.168336Circulation Research. 2008;103:413–422 -
Late exercise training improves non-uniformity of transmural myocardial function in rats with ischaemic heart failure
Aït Mou Y, Reboul C, Andre L, Lacampagne A, Cazorla O/ 15 February 2009, Pages 555–564, https://doi.org/10.1093/cvr/cvn229 -
Pim-1 kinase antagonizes aspects of myocardial hypertrophy and compensation to pathological pressure overload
Muraski JA, Fischer KM, Wu W, Cottage CT, Quijada P, Mason M, Din S, Gude N, Alvarez R Jr, Rota M, Kajstura J, Wang Z, Schaefer E, Chen X, MacDonnel S, Magnuson N, Houser SR, Anversa P, Sussman MA/ September 16, 2008 105 (37) 13889-13894; https://doi.org/10.1073/pnas.0709135105 -
Adenosine A2A and β-adrenergic calcium transient and contractile responses in rat ventricular myocytes
Dobson JG Jr, Shea LG, Fenton RA/ 01 DEC 2008https://doi.org/10.1152/ajpheart.00927.2008 -
Hypertrophic cardiomyopathy in high-fat diet-induced obesity: role of suppression of forkhead transcription factor and atrophy gene transcription
Fang CX, Dong F, Thomas DP, Ma H, He L, Ren J/ 01 SEP 2008https://doi.org/10.1152/ajpheart.00319.2008